ファンダメンタルズ研究所

為替や株価の動向について主にファンダメンタルズの観点から書き記します。

豪ドルについて

豪ドルはリーマンショックの直後は売られましたが、その後は継続して買われ、2011年以降は対ドルではおおむね0.95-1.05のレンジで推移してきました。

今年に入ってからも4月までは1.02-1.06のレンジに留まっていましたが、5月に入ると大きく売られ、現在は対ドルで0.9近辺になっています。

豪ドルの今後の動きはどうなるのでしょうか?

 

単純に購買力平価で考えると、対ドルで0.7くらいが「適正」ということになり、現在の水準も割高ということになります。

(参考:OECD Statistics (GDP, unemployment, income, population, labour, education, trade, finance, prices...) Find in Themes -> Prices and Purchasing Power Parities -> Purchasing Power Parities (PPP) Statistics -> 4. PPPs and exchange rates, 1ドルに釣り合う各通貨の量が表示されるので、豪ドル/ドルの平価が知りたければ逆数をとる

豪州準備銀行総裁らも、(対ドルで0.9近辺まで下がった段階で)豪ドルが依然割高な水準にあるとの発言をしていますが、これはファンダメンタルズによっても裏付けられます。

ただ購買力平価並みの水準まで売られるかというと、それも考えにくいでしょう。

 

豪ドルが買われる要因として、米欧日よりも金利が高いこと(インフレ率もさほど高くない)や、中国などへの輸出の伸びなどがあります。

またリーマンショック後は先進各国で外貨準備の多様性を確保しようとする動きがあり、外貨準備に占める豪ドルの比率は上昇しています。

政策金利は徐々に下げられていますし、中国も経済に陰りが見えてきたので輸出が伸び続ける保証もないですが、それでも10年前の水準まで下がると予想するのはやや悲観的でしょう。

 

今後も政策金利の変更や中国経済の問題が話題に上がるたびに、豪ドルが売られる可能性は高いですが、対ドルで0.85付近まで下がれば買い支える力も強くなるのではないでしょうか。

米国の量的緩和縮小も豪ドル/ドルが下落する要因ですが、現段階ですでにある程度は価格に織り込まれていると思います。