購買力平価
為替レートは様々な要因で変化しますが、交換可能な財・サービスを基準にすれば一応「適切な」為替の水準を決めることができます。
その手の指標としてはビッグマック指数(マクドナルドのビッグマック1個と釣り合う通貨の量)などが有名ですが、単一の商品の値段を基準にすると、たまたまその国でその商品が安い場合にその国の通貨が過大評価されてしまうので、やや信頼性に欠けます。
(例えば日本では外食産業が過当競争にあるので、ビッグマックの値段は「不当に」安く、日本円はビッグマック指数だとやや過大評価される傾向がある)
様々な財やサービスの値段を使って算出した「適切な」為替レートを購買力平価と言います。
具体的な数字は例えばOECDの統計データベースで調べることができます。
表示されるページの左側の「Data by theme」タブをクリックし、「Prices and Purchasing Power Parities」→「Purchasing Power Parities (PPP) Statistics」→「4. PPPs and exchange rates」と選択していくと、各年の購買力平価(対ドル)が表示されます。
ただ実際の為替レートが常に購買力平価に近い値を取るかというと必ずしもそうではありません。
例えば1995年の購買力平価では日本円の適正水準は1ドル=170円前後ですが、実際のレートは一時1ドル=80円を割り込むレベルまで円高になっています。
実際のレートが購買力平価から乖離する理由はいろいろあると思うのですが、金利とインフレ率でどの程度説明できるか、調べてみました。
金利が高くインフレ率が低い国の通貨は、積極的に買われる可能性が高いので、実体以上のレートで取引されるのではないか、という予測に基づいています。
(GDP成長率、貿易収支、経常収支なども調べてみたのですが、そこまで影響していない印象でした)
下記のグラフでは、購買力平価を実際のレートで割ったもの(青い線、値が大きければその通貨は実体以上に高いレートで取引されている)と、米国との金利差(その国の金利-米国の金利)から米国とのインフレ率の差(その国のインフレ率-米国のインフレ率)を引いたもの(赤い線)を比較しています。
(正確には差を用いるのではなく、日本のインフレ率が1%で米国のインフレ率が3%なら1.01/1.03を指標として使うべきなんでしょうが、数%の範囲に留まっていれば誤差は小さいので、簡便のために差分を使いました。)
目盛りは購買力平価/実際のレートが左の目盛り、金利差-インフレ率の差が右の目盛り(単位は%)です。
相関なども算出すればいいのですが、面倒なのでグラフを描いて力尽きましたw
…まぁそれなりに近い動きをしてますかね。
日本円に関しては、90年代の乖離がかなり大きいですけども。
為替レートの購買力平価からの乖離は、金利(-インフレ率)の変化より数年遅れて現れる感じかもしれません。
〈日本円〉
〈欧州ユーロ〉
(99年以前は理論値?)
〈英国ポンド〉
〈豪州ドル〉