ユーロ圏での追加緩和観測
以前のエントリでユーロ圏での追加緩和の可能性に触れましたが、失業率の上昇を受けて現実味が増したようです。
ユーロがほぼ全面安、追加緩和観測で-株安を受けてドル下落 - Bloomberg
元のデータを見てみましょう。
まずはEU統計局のサイトにある、月別の失業率のデータ。
Eurostat - Tables, Graphs and Maps Interface (TGM) table
次に1999年からの年別のデータ。
Eurostat - Tables, Graphs and Maps Interface (TGM) table
量的緩和の効果か、リーマンショック後に上がった失業率が徐々に改善している米国と異なり、ユーロ圏では失業率の上昇が止まっていません。
ギリシャやスペインなど、国家財政の問題に起因する部分もありそうです。
ユーロ圏でもリーマンショック後に何度か緩和(LTRO)を行っていますが、米国や日本と異なり、短期間で融資した資金を返却させているため、十分な効果がないのかもしれません。
ユーロ圏のマネタリーベースを見てみましょう。
緩和を行った2011年夏から2012年春にかけてMBが急激に伸びていますが、短期間で返却するプログラムのため、2013年の夏には元の水準近くまで戻っています。
以前のエントリでは、マネタリーベースの変化が為替に影響していることを書きました。
昨年の秋以降のユーロ圏でのMBの減少を受けて、MBのドル/ユーロ比は大きく上昇しています。
夏以降、ユーロ/ドルが堅調なのは、このMB比の変化を反映している面が大きいと思います。
この状況で再び量的緩和が行われたらどうなるでしょうか?
緩和の規模にもよりますが、再び昨年中頃の水準までMBが拡大するとしたら、ユーロ/ドルのレートも1.2付近まで下落する可能性が考えられます。
また、現在はデフォルト問題や予算承認の延期で米ドルの信認が低下していますが、年明け以降にそれらの問題に目処がつき、さらに失業率の低下を受けて緩和縮小が行われれば、米ドルは長期的な上昇トレンドに入る公算が高いです。
ゆえにユーロ圏で再びLTROが行われればユーロ/ドルは下落する可能性が高いですし、即座に実行されなくてもその可能性が否定されない限り、ユーロの下落基調は続くのではないでしょうか。